気の向くままに車を走らせていたところ、史跡っぽい看板を見つけた。
鳥坂峠という古い峠道があるらしい。やはり夏は峠よね! ということでちょっと走ってみようということになった。
- 標高差130mを約800mで登る塩崎の峠道
- 天保3(1832)年の犀川通船開始で松本や西山(信州新町など)からの物資集積地として栄えた稲荷山宿への古道
- 新町新道竣工による新鳥坂峠は昭和前期の交通の重要路線(鳥坂峠旧道がどこかにあるというの?)
- ↑看板のある場所(左奥へ進む道が鳥坂峠旧道?と思うような位置関係、地図上の鳥坂峠はこの看板をすぎてから、県道の看板に従い左折し細い道に入るという分かりづらさ)
- 鳥坂峠(とっさかみち)は千曲川流域・善光寺平と西山地方・安曇野やその先の日本海沿岸地方との交易の道として重要視された峠道
- 神坂(神坂峠、信濃国と美濃国を結ぶ、大宝2(702)年開通の古道)と同じように「峠」を付けずに鳥坂(とっさか)と呼ぶ(古代においては坂=峠なので「峠」はいらない)
- 鳥坂は雁沢(山沢)という川に沿って登る
- 沢の下流には鳥坂・鶴前・鶴萩など、鳥に関わる地名が残り、古来「鳥は死者の魂を運ぶ」と言うが、鳥坂の峠道付近には古墳が残り、多くの石仏が安置されている
- 犀川通船(松本~信州新町、約60km)を利用した物資を信州新町から稲荷山宿まで運ぶ道として、稲荷山宿発展を支えた
- 大正5(1916)年の鳥坂里道開通により、新町街道(県道70号線)への枢要道路となる
- おかげで塩崎村が豊かになっていった
鳥坂峠は県道395号線にあり、新町街道(県道70号線)をショートカットするようなルートとなっている。どうやら県道70号線のうち、塩崎~篠ノ井石川の部分は鳥坂峠の道より後に出来たようだ(見つけた戦前だか戦中の地図には、上記の道がなかった)。信更町赤田から分岐して、善光寺方面・稲荷山町方面(鳥坂峠)と別れたところを、戦後になり塩崎~篠ノ井石川を付け足した感じだった。当然ながら、鳥坂峠を経由しない道の方が立派。
塩崎村の明治初期という古地図も見つけたので眺めたけど、鳥坂峠説明板の左へ向かう道はやっぱり怪しい…。明治初期の峠越えの道は中郷神社(諏訪社)の近く通ってなかったしな。相当昔からある(らしい)峠道、気になるわー。
説明板にも書いてあった「鳥は死者の魂を運ぶ」というの、墓地だったということなの? 京都の鳥辺野を思い出したわ。鳥葬でもやってたんか? 鶴萩古墳は見に行ったが、鶴前という場所は発掘している現場を何度か見かけた。古墳はなかったはず(中世の館が見つかったらしいが)。鳥坂だけは御遺体を捨てていた場所かもしれないけど。皆が使う道で死体ごろごろしているなんてイヤだなぁ。
そして「鳥坂は非常に古くからある峠道」というニュアンスを受ける書き方。あの案内板回りくどい言い方して、察してちゃんっぽい、気に入らない。
雰囲気は林道よ。
こんなカーブよ。昔の道よねぇ 。
素朴な峠過ぎて、あっという間に着いた。車の中で垂れ流していた音楽、1曲終わらないうちに着いたよ。車でも数分程度で走り抜けられるんだから、大正時代でもとても重宝されただろうな。
★★☆☆☆
だが、現代の自動車では物足りない気分。
<鳥坂峠>
昔からある?
これじゃつまらなすぎて、家に帰れない。そのまま適当に車を走らせた。信更町の点在する集落を見て回るようなルートに。思ったより田畑があり、休耕田は少なかった。
どこをどう走ったのか、かっこいい神社を見つける。
小田原神社というらしい。オダワラではなくコダワラと読むらしい。ここは一応長野市だが、隣の地区は千曲市大田原という名前で。その場所と何かしらの関係あるんだろうな、というところ。
この神社の御祭神は健御名方神、これ以上のことは分からなかった。創建年代も不明となっていた。こんな、映画で出てきそうな神社を見かけたのは久しぶりだった。
↑こんな感じの道を走ると、大田原地区に出た。
自治体が変わったせいなのか、急に道路状況が良くなった。それまでの道も悪いわけじゃないんだけど、急にオーバースペック感のある立派な道になったのよ。
大田原地区にも神社があった。「田原神社」といい、木花咲耶姫命を祀っているようだ。小田原神社とは系統が異なる神様だなー。田原神社も古いのか、創建年不詳となっていた。普通の集落のよくある郷社という見かけで、小田原神社見た後ではイマイチだなと思ってしまった。小田原神社よりずっと大きかったんだけどね…小田原神社の佇まいが尋常じゃ無いわ。
今まで昭和な道路を走ってきたけど、いきなり平成な雰囲気になったわ(そういえば、私まだ令和感のある道路に出会ったことがない)。
大田原地区を抜けてこんなところにも!? ループ橋まであった。
さらに下ると、今度は高速道路が交差する。近くまで行ける、車がビュンビュン行くよ。楽しいねー!
この道路の終点は旧桑原宿だった。山に近い田舎だからか、土塀で取り囲まれた立派なお屋敷がいっぱいあったよ!
★★★★★
途中の小田原神社、ホント良かった。