お城めぐり

ちびっこ同伴で気軽に行けるお城(+神社仏閣、古い遺跡)の記録。ちびっこ連れでの個人的な感想と難易度を★であらわしてみました。

湯宮神社+動き岩

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自力・他力でようやく半分集まった。釜トンネルをもらってきたぞーやっほー。

 

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本日は1人で出かけて良し! と許可をもらったので。ここに来た目的はもちろん例のカードである。カードもらうだけだと一瞬で終わるからな。 何年かぶりに1人でウロつく時間も出来たぞー。

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スキー場と温泉が名物のここ、驚くほど雪がない。でも道の駅は混雑していた。リンゴが大量に売っていたよ(暖冬のせいでまだ採れるの?)。

 

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なんとなく行き着いたのがココだった。神社の一角に駐車スペースがあったのだ。 湯宮神社といい、この辺りの産土神らしい。

 

  • 御祭神は、健御名方神・大國魂神・軻遇突智神金山彦神豊受大神
  • 神代に、大巳貴命と少名彦名命がやってきて温泉を開いたという伝承がある
  • 湯宮山脈最高峰の岩菅山の山頂に奥宮があり、少名彦名命を祀る
  • 岩菅山頂の奥宮は岩菅大権現と称し、宝暦10年社領を与えられる
  • 諏訪社は永禄2年に祀る
  • 明治6年、村社
  • 明治25年、諏訪社→湯宮神社と改称、秋葉社神明社・地神社も合祀
  • 明治26年、金比羅宮も合祀

 

岩菅山は湯宮神社より東へ13kmほど離れた山のことで、標高2300mで登る気力がわかない。案内板の内容通り、頂上に祠があるそうだ。大巳貴命とは大国主神(大國魂神)のことで、少名彦名命は大国主神の国作りに参加したイタズラ好きの小さい神様だそうな。この2柱はセットで扱われる事が多いそうだ。岩菅山の祠には少名彦名命が祀られているからか、里宮?のここは大国主神のみ祀っているのだろうか。

と思ったら、湯宮神社は御柱祭やっているそうだ。元々は諏訪社だったらしい。案内板の記述の半分が大国主神と少名彦名神の話なので、その辺の謎がちょっと気になるよー。

 

この辺りは1万6千年以上前(旧石器時代)から人が住んでいるみたい。黒曜石製の石器も出土するし、3千年以上前(縄文時代)の遺跡もいくつか残っている。特に佐野遺跡から出土した縄文時代の土器(佐野式土器)は中部地方独特の様式を表しており、そのため指標になっているとかいう。土器の様式から日本全体の交易の様子と文化の伝播が分かるそうで、土器により文化圏が徐々に統合していき縄文時代末期で東日本・西日本の2つで落ち着くという変遷を辿れるらしい。

 

神社の伝承では島根在住の大国主神とその仲間達が遠く離れた長野の山奥で温泉を開いた、とのこと。日本各地には大国主神と少名彦名神の開湯伝説というものが散らばっているそうで、それらは主に6世紀半ばより前に発見された温泉に多い伝承みたい。湯田中温泉縄文時代から温泉が湧き出していたそうだが、文献上は「天智天皇(626~672)の時代に僧・智由により発見」というのが初出らしい。

軻遇突智神は火の神様で秋葉社金山彦神はゲロから生まれた神様。豊受大神は食べ物の神様で神明社かなー? とすると、ゲロの神様は元は地神社で祀られてたのかな? 調べると金山彦神は鉱山の神様だそうな。地元の観光協会の公式サイトでは「地神社(産土神)、金山社を祀る」という内容の記載があるので、地神社は別の神様かもしれない(じゃあ大国主神かなー?)。

この神社から直線距離で2kmほどに金倉鉱山という鉱山があったそうで。褐鉄鉱(天然の錆びた鉄で鉄鉱石)と蝋石(耐火煉瓦・ガラス繊維の原料)と蛍石(製鉄用の融剤)が採れたらしい。1919(大正8)年に採掘開始、70年程前まで操業していたらしいが今は閉山。近くには他にも下高井鉱山というのもあったらしいが、場所不明。この辺り温泉だらけだもん、鉱脈もありそう。

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端っこには神楽を仕舞っている建物があった。

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金比羅宮のみ、独立して案内板があった。

梅翁寺は今もあって、足湯に浸かるお地蔵様が有名らしい。

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拝殿と本殿の間に川が流れていた。

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参拝者は私の他にカップルがおり、カップルは建物奥に消えていった。

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動き岩というものがあるらしい。

カップルのすぐ後をつけていくのは気が引けたので、離れて登ってみることにする。

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途中、分かれ道があった。「雨含の松」と書いてある標示が。これも観光名所なんだろうか。

 

とはいえ、「動き岩」なるものを全く分からないままだし、カップルも男が女を気遣ってゆっくり登っていくので追いつきそう。写真を撮るふりをして時間を潰していたら、誰かの声がした。

見れば、下の道路から地元のお爺さんが私を呼んでいた。何事かと話をしたら、どうやら私が「動き岩」の場所分からなくて迷っていると思われたらしく。「動き岩はもっと上だよ、登って!」と言われた。

動き岩とは一体? と聞こうかなと思ったけど、なんかそんな雰囲気じゃなかったので止めた。

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岩が見えてきた。あれが動くのか?

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ごく普通の丘に突如の岩山。てっぺん付近だ。

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小型の動物の住処になりそうな窪み。蛇でも出そうだな。

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で、動き岩って何? 案内板があった。

 

  • 古来より、神の御座所、磐座として崇拝されてきた
  • 湯治場を開き、民の病を癒やしたと伝えられる大巳貴神大国主神)を産土神として祀り、湯宮と呼んだ(里宮とした)
  • 岩菅山に奥宮を建立し、大治元(1126)年に少名彦名神を岩菅大権現として祀る
  • 武田信玄により湯宮に健御名方神が勧請され、永禄2(1559)年諏訪社となった
  • 国を造った大国主神と少名彦名神の2神と一緒に国造りに尽力した須勢理比売命(大国主神の正妻)と事代主命大国主神の子、健御名方神の兄)もこの地(神社裏の丘)に祀り、湯宮山と称した
  • 大立岩の夫婦岩大国主神と須勢理比売命
  • 夫婦岩の隣の烏帽子岩事代主命
  • 南側の蟇岩(ひきがえるのような岩)は少名彦名神
  • 蟇岩は神力により指一点で押すと動き、古来より「動き岩」と呼ばれている
  • 磐座の間をすりぬけると生まれ変わる事が出来る
  • この場所は今も神域である

 

湯宮神社の元の御祭神は大国主神で、岩菅山の岩菅大権現の祠(奥宮)と対になる神社(里宮)だったようだ。それが武田信玄のせいで主祭神の座を健御名方神に取られてしまった。ただ、磐座があるので本来の祭祀の場は小高い丘(湯宮山)なのかもしれない。

やだ、ふらっと来ただけなのに恐ろしく古い起源の神社に出くわしちゃったのかもー。嬉しいわー。

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急に現れた聖徳太子

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大山津見命。山の神様。一般的には「大山祇神」と称される神様のようだ。神社庁の調査でこの神様の表記は大山祇神85%、大山津見神9%、大山積神5%という結果があるらしい。こちらのは日本で9%の珍しい形態だね!

大山祇神伊弉諾尊伊弉冉尊の子で、軻遇突智神の兄弟に当たる。また、伊弉諾尊伊弉冉尊の子である素戔嗚尊の奥様・奇稲田姫大山祇神の孫で、この夫婦から産まれた子供は大山祇神の子と結婚している。また、大国主神の奥様・須勢理姫素戔嗚尊奇稲田姫の娘である。そして大国主神自身も大山祇神素戔嗚尊の子孫でもある(大山祇神の娘と、素戔嗚尊(と結婚した大山祇神の別の娘と)の息子が結婚しており、その夫婦の子孫が大国主神)。神様の世界の婚姻関係はなんてややこしいんだ。

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さっきの聖徳太子大山祇神の説明は一切なかった。

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これが磐座らしい。

立て札は、新しい方が「奉納 大石大注連縄金安祭典奉仕会」で古い方が「奉納 金倉神社祭典奉仕会」かな? この立て札の後ろが事代主命烏帽子岩じゃないかと思う。右側の横長の岩が少名彦名神の蟇岩、動き岩かな。動かさなかったです。

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夫婦岩はこれだろうか。

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引きで見てもよく分からなかったー。
磐座の間をすり抜ける「胎内くぐり」もやらなかった。生まれ変わってもあんまり嬉しくないや。

 

丘を下りて、さっきよく分からない標示があった分かれ道に戻った。

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「雨含の松」というのを見に行ってみようと思う。

 

途中にも神社があった。

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うち捨てられた神社? 手前に木の看板があったけど、ボロボロだった。頑張って読もうとした。

 

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無理だった。

両端は文字が辛うじて残っているので「御稲荷さん」だと分かるものの、真ん中は文字が完全に消えている。

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なんかねー色々不気味なの!(後ろのお宅は廃墟です)

2014年は木々が多い茂っていたようだ。奥にある赤い鳥居が御稲荷さんと思われる。 

 

近くには、また別の神社があった。

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ここに「雨舎の松」があるようだ。「うがんのまつ」と読むそうな。

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雨含の松 跡碑

樹齢三百数十年の雄姿を誇り吉沢の里の平和・安全を見守り続けた雨含の松は使命を終え ここに眠る 未来・永劫見守りあれ

                    吉沢組一同

平成二十四年四月吉日

 

という看板があった。枯れてしまったのね。 

山ノ内町指定の天然記念物で、2011年11月に枯れてしまったので伐採したとか。看板が立てられたのは翌年、この辺りの人には親しまれた巨木だったんだな。巨木愛好家には有名らしく、在りし日の「雨含の松」をネットで見ることが出来た。傘みたいな松だった。神社の御神木だったのかも。

 

神社の方も古い縁起があるらしい。座王神社という名前で、室町時代以前からあり安産の神様として知られているとあった。戦時中には「武運長久」「無事帰還」を祈願した人達に御利益をもたらしたみたい。

 

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安産の神様は石仏だという。蔵王権現堂とも呼ばれているようだ。蔵王権現は日本独自の仏様で、修験道においての本尊。釈迦如来・千手観音・弥勒菩薩が合体した神様。神道だと大巳貴命・少名彦名命・国常立尊日本武尊金山彦神などの神様が合体したことになっていた。すぐ後ろ山だし、昔は修験者がウロウロしていたのかしら。

蔵王権現って安産の神様だっけ? と思ったけど。蔵王権現は「ありとあらゆるものを司る王様」で、すべての神様仏様と同じ能力を持っているという何でも出来ちゃう凄い神だそう。安産や子の健やかな成長にも御利益もたらすし無事に兵士が帰還できるし武運長久もOK。万能じゃないの。

「無事戻ってくる」御利益は最近出来たものかも? ここにお祈りして出征した兵士達が誰1人欠けることなく戻ってきたから信仰されているためらしい。言い方から何となく太平洋戦争の話かと思った。

 

★★★★☆

磐座なんて素敵だった

 

 

<湯宮神社>

創建年 不明

御祭神 健御名方神

 

 

大昔からの温泉地ということで、公会堂すら銭湯に。

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