お城めぐり

ちびっこ同伴で気軽に行けるお城(+神社仏閣、古い遺跡)の記録。ちびっこ連れでの個人的な感想と難易度を★であらわしてみました。

長楽寺

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姨捨に行ってきた。ここは月見や景色の良さで有名な場所。棚田とかもある。

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綺麗な景色が眺められる=標高が高い訳だけど、開墾して水田も作られた。山の斜面に階段状に作った水田を棚田といい、現在国の名勝に指定されている。日本で初めて農耕地が文化財として保護された記念すべき景色でもある。文化財保護法に基づき、この景色が永久に保存される。日本国が消えちゃったり天変地異で地形が壊滅的被害を受けない限りは…。その後、重要文化財的景観に選定されている。

 

名勝と重要文化財的景観の違いは、

 

名勝

文化財の種類のひとつで、国または都道府県が芸術上、観賞上価値が高い土地として指定するもの

 

重要文化財的景観

都道府県または市町村が保護措置を行っている景観地のうち、特に重要なものとして申し出があったものを国が選定したもの

 

つまり、名勝>重要文化財的景観となるのね。

 

以前は現在の姨捨SA付近から流れ出す更級川を水源とし、田は多くなかったみたい。江戸時代に入り元禄10(1697)から安永6(1777)年までの大池普請で更級川より更に標高の高い場所に溜め池をいくつも作り、結果姨捨周辺にたくさんの棚田を開発できた。

姨捨を象徴する「田毎の月」とは、もともと長楽寺というお寺さんの持ち田48枚にそれぞれ映し出された月のことを指している。平安時代から月の名所として有名だったが、田毎の月の初出は天正6(1578)年刊行の狂言本。江戸時代の水田開発で棚田が増え、「田毎の月」は周辺に広がる広大な棚田すべてに月が映り込む様を表すようになったらしい。

 

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長楽寺入り口。ここには松尾芭蕉の面影塚という石柱がある。元禄元(1688)年松尾芭蕉が当地を訪れた記念に明和6(1769)年に建てられたもの。読まれた句が彫られている。

この他、境内は広くないのに大量の歌を刻んだ石碑が並ぶ。

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観音堂の下にも。

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ひときわ大きなコレ↑は回翁歌と彫られ、どうやら回文(「私負けましたわ」とかの上から読んでも下から読んでも同じ文)の大家の碑らしい。

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久邇宮お手植えの松もあった。

 

長楽寺は創建年不明の古刹。「千曲之真砂(1753年)」という書物には長楽寺の紹介と姨捨の紹介が載っている。

  • 天台宗で、八幡村神宮寺(武水別神社神宮寺)末寺の放光院
  • 本尊は聖観音(善導大師作)、勢至菩薩(恵心僧都作)
  • 48枚の田の近くにも石仏の聖観音がおられる
  • 月見堂ある
  • たくさんの和歌が飾られているが、スペースが足りず張り付けできない和歌は八幡神宮(武水別神社)などの文庫に収めている
  • 姨石、姪石、甥石、袋石(十袋石とも言われる)ある
  • 古来から田毎の月(田の一枚一枚に映し出された月)が歌に詠まれる
  • 八月十五夜頃には田に稲が覆い繁るので、田が月が映し出せる訳がない。里の諺で「田んぼの稲を刈り取り水を湛え月影を映して見るなり」という、十五夜にわざわざ収穫前の未熟な稲を刈り取り月を拝む拙い意識の者が時々現れ嘲笑される事件が起こる名所でもある。名所というものは自然に月が映り景色の良さを楽しむ場所であり、それを無理に作り出すとか風雅の意味を知らないヤツだと思うよ!

と書かれていた。

このお寺で御朱印をいただいたが、その時のお寺の紋は武田菱だった。武水別神社関連だからかなー?

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月見堂↑

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本堂↑

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梵鐘?が小さい。

 

御本尊のひとつ、聖観音のお堂。茅葺きの小さなお堂だった。

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お堂にお参りしたが、気になるのはお堂の隣の巨石。

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これが姥石らしい。

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元はこちらの石が御神体だったんじゃないかという位の存在感だよ。

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姥石の他、姪石や甥石などの巨石があちこちにあるらしい。更級川周辺で起こった地滑りにより巨石がごろごろしているとか文化庁のサイトに書いてあった。何か謂れがあるのかないのか、微妙な感じ。

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初めて句が刻まれていない、石仏を見つける。消えかかっている。

 

ちなみに姥石の上は展望台にされている。

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貧弱な柵だが、これがないと危険だわ。

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柵がない時代では転落事故が多発してそうだよね。

 

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姥石には祠もあった。1宇は嘉永6(1853)年って書いてあった。黒船来航の年である。その祠には熊野権現の札が納められていた。

 

長楽寺には、謡曲の「三老女」の案内板もあった。

謡曲とは、能の声楽部分のこと。能の演目の中でも老女を描いた曲は能の最奥の秘曲とされ、非常に大切に扱われている、特に「三老女」と呼ばれる関寺小町・檜垣・姨捨の3つは重要な演目であるという。経験年数や才能がない人は演じることを許可されないらしい。故に上演は少ない。

 

関寺小町

関寺の僧たちが和歌の話を聞くため、老女の庵を訪れる。華やかだった若いころの話を聞いて、僧たちはどうやら老女が小野小町だと気づく。

 

檜垣

毎日水を捧げていた老女が僧に会った。老女は若いころ傲慢な白拍子で地獄に落ちた。成仏したいです、と語る内容。

 

姨捨

都の男が姨捨山で老女に出会う。「ここは私が捨てられた姨捨山ですよ」などと話しかけ、月のきれいな夜半に静かに舞う話。

 

姨捨」は、都の男たちと出くわし「姨捨の旧跡はここ」「捨てられた老女は私」とかしゃべって桂の木陰にすーっと消える。夜も更け、月の下で老女が男たちの前で舞い、明け方になると男たちが帰るが老女はそのまま一人残されるという寂しい話、というあらすじが案内板に書かれ、老女が最初に消える桂の木が長楽寺境内にあります。とあった。

そんな桂の木があった…?

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これらしい。千曲市指定天然記念物になっていた。姨捨の演目は世阿弥(1363~1443)が作ったらしい。1400年頃にはそれなりの大きさの木として存在していたと思われる。

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境内の片隅には五輪塔らしきもの、供養塔のような石塔が並んでいた。

 

長楽寺の向かいには千曲市日本遺産センターという、昔の姨捨観光会館を改修した施設がある。

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年内は歌川広重の浮世絵(本物)を展示しているそうで、つい最近レストランオープンでその件を知った私が慌てて見に来たのよ。

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広重の「六十余州名所図会25 更科田毎月 鏡台山」である。各国の名所を描いたもの。信濃国の名所として長楽寺・棚田・鏡台山から月が出ている様子を描いたそうな。なんと写真撮影可だった。

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昔、会社勤めに疲れてしまい「ステンドグラス職人になりたい」とブツブツ言ってた時期があったことを不意に思い出した。いいよね…ステンドグラスは。

 

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今回同行した者が一番喜んでいたのが、国鉄末期に設置された姨捨駅の観光案内板。うおーと呟きながら写真撮っていた。鉄道好きじゃないとか言いながら、こういうのに興味を示すからちょっと引く。

 

 

★★★☆☆

子供は高い所(姥石の上)に腰が引けていた

 

<長楽寺>

創建年 不明

開基 不明

 

 

 

 

 

 

そしてレストランには一番乗りした。

メニューの内容が一切分からなかった訳だが、イタリアンのパスタコースのみだった。

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前菜↑

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↑ドルチェ、選んだのはティラミス

 

パスタは数種類あり、3種類頼んで食べ比べしたが、私は味噌クリームが一番美味しいと思った。開店時間を狙ったのが良かった、やっぱり12時には混雑し始めた(団体客も来たし)。クリスマス気分に浸れて良かった。