お城めぐり

ちびっこ同伴で気軽に行けるお城(+神社仏閣、古い遺跡)の記録。ちびっこ連れでの個人的な感想と難易度を★であらわしてみました。

常田氏屋敷

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常田は平安時代末期には存在していた古い集落で、一時期は信濃国総社にも指定された科野大宮社という神社を抱えている地区だった。同じ上田市内には信濃国分寺もあった。常田地区から信濃国分寺は近い。

平安時代初期に信濃国府が松本市に移されるまでは上田市内に置かれていたらしい。科野大宮社も恐ろしく古い神社で、創建は崇神天皇の時代で科野国造だった建五百建命が作ったと言う。

そんな常田庄を治めていたのが常田氏で、この一族は滋野氏→海野氏の末裔ということぐらいしか分からないらしい。大昔からあった荘園の実力者ではあるので由緒ある豪族だったのかなー?

上田と言えば滋野氏(海野氏)末裔の真田氏、元から上田に住んでいた常田氏も一応同族ということになるらしいが。真田初代とされる真田頼昌の子が常田氏の養子に入っているので、真田氏の近しい親戚になるらしい。真田氏の近隣の豪族で敵対していた矢沢氏という豪族がいたが、同じように真田頼昌の子が養子に入って敵対関係を解消した(真田氏に従属させた?)そうで、常田氏への養子というのももしかしたら同じ理由なのかもー? と思った。常田氏も真田家の家臣として続いたそうだ。

 

この常田氏の屋敷があったとされる場所が、今の信州大学繊維学部キャンパスのあたりらしい。また、上田藩主代々のお屋敷も常田氏の屋敷跡という説があるらしい。いっぱい館を持ってたみたい。

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当然のことながら、館跡の遺構はない。このキャンパス、以前にも入ったことあったけど凄くコンパクトだった。当時通っていた学校の敷地の方が広かったよ。今もそんなに変わらない規模だった。繊維学部の前身は「上田蚕糸専門学校」という国立校で、これが日本初の蚕糸専門の学校なんだそうだ。設立は明治43(1910)年。

明治から昭和の戦前まで、日本の外貨獲得の大きな産業が養蚕(生糸)だったようなので。養蚕関係の専門学校や学部がその後、いくつも出来たようだ。ただ、もう日本は養蚕関係の仕事がほぼないので、学校も看板を下げちゃったりして、「繊維」と名の付く学部名を掲げているのはココだけになってしまったらしい。今はファイバー工学というのをメインにやっているらしい。なんか看板が立っていて読んだのに、なんにも頭に入ってこなかったわー。

 

お城の跡はもうないけど、「上田蚕糸専門学校」時代のものは残されていた。

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↑門の近くにはこれ。守衛所。

大正元(1912)年完成。上田蚕糸専門学校の第1回入学式は1911年だったそうで、授業を行いながら徐々に校内も整備させていった感じかなー? 守衛所は現役、守衛さんが詰めている。設立当時の正門はキャンパスの南側にあったそうで、昭和4年に正門がキャンパス西側に移されると同時に移築したと案内板には書いてあった。

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キャンパスに入り込む。

少し進んで左側に何かあったよ。

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レトロ(オンボロ)な建物。

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アイソトープ実験室。昭和5(1930)年竣工。最初は生物実験室として使われ、のちにアイソトープ実験室になったそうだ。鉄筋コンクリート造りで、しっかりした感じがする。

アイソトープ実験というのは、放射線の何かの実験のことらしい(何度読んでも分からない内容だった)。

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ちょっと窓開いている。現在は書庫ということだが、梅雨時に窓開けていても大丈夫なのだろうか。

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また元の場所に戻る。

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キャンパス案内図があった↓

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次の古い建物はコレだった↑

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さっきの旧アイソトープ実験室と同じ時期に建てられているが、↓こんな指定されていた。

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上田蚕糸専門学校の講堂として建てられたため、造りが全然違う。旧アイソトープ実験室がとにかく頑丈そうな造りだったけど、こっちは豪華な感じがする。

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昭和4(1929)年、洋風木造2階建て。設計者は文部省の役人で、養蚕の学校と言うためか装飾が桑・繭・蛾のモチーフなんだそう。あんまり格好良くない気がする。出窓も繭っぽい? 建てられた当時のままで改変なし、ということで映画やドラマの撮影にも使われているそうな。それらのタイトルの中には見たことあるドラマもあった。内部も公開しているみたいだけど、誰も居らずよく分からないので止めた。

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↑こいつも古そうだぞ

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最後にあったのが、旧千曲会館という建物。

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千曲会というのは同窓会だそうで、上田蚕糸専門学校創立25年を記念して同窓生の寄付により昭和10(1935)年建築。先ほどの講堂と調和するようにデザインされたようで、意図的に装飾を似せているらしい。現在は別の場所に千曲会館があるため、使われていないようだ。ここも建築当時のままで改修されておらず、貴重です、と案内板に書いてあった。

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表に回った。

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講堂の向かい辺りに大きな木があった。

昭和天皇お手植えのヒマラヤスギだって。大正8(1919)年、当時皇太子だった昭和天皇が行啓し、植えていったものだそうで。

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ちゃんと書いてある。すごく期待されていた専門学校だったのね。

 

 

 

★★★☆☆

常田屋敷のことは忘れ去られているが、明治~昭和の建物が良かった。

 

 

<常田氏屋敷>

築城年 不明

築城主 常田氏